【レポート】わずか11日間で崩れた「米イラン停戦覚書(MOU)」、交渉再開後のハードルは?
6月24日から27日にかけて米国・イランの相互攻撃が発生、その後29日に交渉への復帰が公表された。6月17日の米イラン暫定合意(MOU)の合意事項のうち、特にホルムズ海峡の「安全航行」を誰がどう管理するかをめぐる解釈対立が直接の火種となった。本レポートでは、覚書(MOU)締結から、6月24〜29日の再衝突に至る背景、攻撃の応酬の経緯、暫定合意/停戦復帰の流れを整理し、金融相場への影響について考察する。
現時点(6/29時点)で把握可能な、過去1週間の米・イラン間の状況
- 6月25日のシンガポール船籍のコンテナ船に対する無人機攻撃を皮切りに、26日から27日に米国とイランが相互に軍事攻撃を実施。その後、29日に米国とイランが相互攻撃を停止することで合意した、と報じられた。
わずか11日間で停戦合意の覚書(MOU)に反する事態が起きた理由
- 今回の戦闘が再燃したきっかけは、弊社の過去レポートでも重ねて注意を促した通り、6月17日の米イラン暫定合意が、多くの不一致点や認識の相違(通航ルート・管理権・通航料・凍結資産・レバノン戦線など)が残ったまま、単に先の交渉に先送りされたものだったこと。
- 交渉開始後すぐにホルムズ海峡に関する条項(暫定合意で通行可能なルートが、イランよりの北側か、米・オマーンが進める南側か)をめぐる対立が発生、米国主導の経済制裁で差し押さえられたイランの凍結資産の開放スケジュールや規模についても対立。
再開されたMOUに基づく「交渉」内容
- 相互攻撃の停止/米国の海上封鎖解除・妨害停止
- 技術協議の再開;本来は核問題を含む技術協議の予定だったが、6月末の再開協議では、ホルムズ海峡の実務管理、通航ルート、安全保証、米軍とイラン革命防衛隊(IRGC)間の連絡線 などが主な論点に移っている状況。
- 凍結資産・制裁・核問題の協議継続
今後の金融市場への影響
- 現在のよう停戦と交渉について不安定な状況が維持されることは、アメリカよりもイランにとって有利な交渉状況。「インフレ懸念」という、アメリカ経済に歪みをもたらす脆弱性を、イラン側が対外交渉に活用しようとすることにより、当面2か月(60日間)の交渉期限ぎりぎりまで、不安定な相場環境は継続しやすい。
- ドル/円レートについても円安傾向は継続しやすく、消費者関連セクターなどインフレに脆弱なセクターの株式等にもストレスがかかりやすい。