3月13日がつなぐ、天王星と冥王星の物語
天王星の発見
1781年3月13日、イギリスで観測を続けていたウィリアム・ハーシェルは、ふたご座の近くに、背景の星々に対してゆっくり位置を変える淡い天体を見つけました。最初は彗星かもしれないと考えられていましたが、その後の観測によって、これは新しい惑星だと分かります。のちの天王星です。当時、人々が知っていた惑星は土星までの六つで、天王星は古代以来はじめて加わった「新しい惑星」でした。しかも、望遠鏡によって発見された最初の惑星でもあり、この出来事は「太陽系は思っていたより広い」という実感を人々にもたらしました。3月13日は、一人の粘り強い観測が、宇宙の見取り図そのものを静かに描きかえた日として、天文学の歴史にやさしくも深く刻まれています。

冥王星の発見
それから149年後の1930年3月13日、今度はアメリカ・アリゾナ州のローウェル天文台が、太陽系の外縁に新しい天体が見つかったことを公表しました。これが冥王星です。実際にその動く光点を見つけたのは、若き観測者クライド・トンボーで、1月下旬に撮影された写真乾板を比較し、2月18日にその存在を確かめていました。公表日が3月13日に選ばれたのは、天文台の創設者パーシヴァル・ローウェルの75回目の誕生日であり、しかもハーシェルが天王星を観測した日と重なるからでした。そのため冥王星発見の発表は、単なる新天体のニュースではなく、先人たちの夢と探究心を受け継ぐ象徴的な日にもなりました。当時の人々にとって冥王星は、太陽系のいちばん遠くに加わった第9惑星として、未来への想像を大きく広げる存在だったのです。

冥王星の準惑星への「格落ち」
冥王星の物語は、発見で終わりませんでした。2006年8月24日、国際天文学連合(IAU)はプラハ総会で太陽系の「惑星」の定義を定め、惑星であるためには、太陽のまわりを回っていること、ほぼ丸い形になるだけの重力をもつこと、そして自分の軌道の近くを支配的に占めていること、という三つの条件が必要だとしました。冥王星は最初の二つは満たしていましたが、三つ目の条件には当てはまらないため、新たに設けられた dwarf planet、つまり準惑星に分類されることになりました。この出来事は「格下げ」として広く受け止められ、驚きや寂しさを呼びましたが、同時にそれは、観測技術の進歩によって太陽系の外側に冥王星に似た天体が次々と見つかり、私たちの理解そのものが更新された結果でもありました。
現代の冥王星観とは?
このように、冥王星は「宇宙の見方が変わる節目」を何度も担ってきた天体でした。ハーシェルの3月13日の観測は太陽系の広がりを大きく押し広げました。そして、同じ3月13日に公表された冥王星は、その広がった地図のさらに先に、人間の想像力を連れていってくれました。
日本で「冥王星基地」というと、長い歴史を持つ有名アニメ(宇宙戦艦ヤマト)で、遊星爆弾を落とす異星人の侵攻基地のイメージを持つ方も、少なくないのではないでしょうか。その他にも、日本の昔のアニメには冥王星が出てくるものが複数あります(例. 銀河鉄道999、超時空要塞マクロスなど)。また、アメリカでも昔のSF小説、ハインラインの「宇宙の戦士」等にも出てきますね。しかし、最近のアニメには冥王星はほとんど出てこなくなりました。
太陽系外と内をつなぐ星としての注目、それは冥王星がまだ「惑星」だった時代の役割だったのかもしれませんね。
