ソフトバンクグループ 2025年3月期通期決算とクレジット評価上の着目点
本動画では、ソフトバンクグループ(以下、ソフトバンクG)の2025年3月期(FY2024)通期決算状況と、同社社債投資にあたってのクレジット評価上の着目点について確認する。
2025年3月期(FY2024)通期決算について
- ソフトバンクGのFY2024通期の売上高は7.24兆円と前年比で+7.2%の増収、純利益が1.6兆円の黒字、株主帰属純利益は1.15兆円と4年ぶりの黒字。ただし、会計上の赤字は、必ずしもソフトバンクGの社債の元利金支払いの安定性に影響しない。
クレジット投資上の注目指標について
- 同社の債務の返済余力の多寡の評価尺度には、LTV、NAV、手元流動性(現預金など)、有利子負債残高、現金化可能な金融資産の保有額等を確認することが必要。
- ソフトバンクGが示す自主的な財務規律維持の目安;
(i). 通常時のLTVを25%未満に抑制 (異常時でも上限35%に抑制)
(ii). 手元流動性として、少なくとも2年分の社債償還資金を保持 - 同社の保有株式価値は2025/3末時点には31.4兆円に上昇。一方、NAVは25.7兆円まで下落。LTVは18.0%まで大幅に上昇。
- 2025/3末の単体ベースの手元流動性(ローン未使用枠を含む)は3.4兆円と減少傾向にあるものの高水準を維持。今後2年の社債償還額を大きく上回る。
ソフトバンクGの成長戦略と財務レバレッジ
- 同社の未執行部分が全て執行された場合、LTVは24.4~28.0%まで悪化しうる。ただし、追加的な財務アクションによりLTVを25%未満に維持可能できる経営状況。
- 絶対的なLTVの水準は上昇しやすく、S&Pなどの海外格付よりも、投資適格格付を付与しているJCR等の国内格付に対して格下げ圧力となりやすい。
ソフトバンクG社債に対するクレジット投資評価
- 米ドル建て債は円債よりシニア債で+2.7%程度、劣後債で+4.9%程度、利回りが高い状況。
- 同社は、これまで各通貨の劣後債について、金額面で相当と余裕を持った借り換えを実施。
- 同社のハイブリッド債のリプレイスメント(初回コールによる借換)可能性は安定的。
- 米ドル建てハイブリッド劣後債に対する投資の効用はシニア債よりも高い。
- 年後半から2026年3月の期末にかけて、信用スプレッドの拡大、格付機関による格下げ方向での見直しなどが生ずる可能性も。
- それでも、絶対利回りの高い投資機会として、米ドル建てのソフトバンクG劣後債の、運用ポートフォリオへの組み入れを推奨。
調査レポート
ソフトバンクグループの2025年3月期通期決算とクレジット評価上の着目点