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つれづれなるままに

米国初の特許が認められた日 (7月31日)

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閣僚が審査し大統領が署名した初特許

米国の特許制度は、1790年に連邦議会で制定された最初の特許法から始まりました。当初は独立した特許庁さえなく、国務長官トーマス・ジェファーソン、陸軍長官ヘンリー・ノックス、司法長官エドマンド・ランドルフが自ら出願を審査していました。同年7月31日、木灰から肥料や石けん、ガラスなどに使われるポタッシュとパールアッシュを製造する改良法について、サミュエル・ホプキンスに米国第1号の特許が与えられ、ジョージ・ワシントン大統領が署名しました。

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1836年には専門の審査官と特許番号制度が整備され、創設者たちが直接審査する仕組みから、近代的な行政制度へと発展しました。

各国の特許制度をつなぐ国際協調

発明品が国境を越えて販売されるようになると、国ごとに出願し直さなければならないことや、外国人として不利な扱いを受ける可能性が、大きな障害となりました。

この転機となったのが、1883年に成立した工業所有権の保護に関するパリ条約です。この条約では、外国の出願人にも自国民と同等の保護を与える「内国民待遇」と、最初の出願から一定期間内であれば、ほかの加盟国でも最初の出願日を基準にできる「優先権」が導入されました。米国も1887年に加盟し、現在、特許の優先期間は原則として12か月です。さらに、1970年に採択された特許協力条約(PCT)は、国際出願や先行技術調査などの手続きを共通化し、現在では150か国を超える国々が参加しています。

また、1995年に発効した世界貿易機関(WTO)のTRIPS協定は、出願日から原則20年以上という特許保護期間を含む最低基準や、権利行使、国家間の紛争処理を国際貿易のルールに組み込みました。米国も2013年には、先に発明した者を重視する制度から、原則として先に出願した者を重視する「先発明者出願主義」へ移行しました。

国境を越え「見えない輸出品」知的財産(IP)

今日の特許は、製品や技術を模倣から守る防壁であるだけでなく、ライセンス料を生み出す無形の事業資産、引いては金融取引の原資産としても重要になっています。世界知的所有権機関(WIPO)がWTOの統計を基に集計した知的財産使用料の国際的な受取額と支払額の合計は、2023年に合計1兆ドルを超え、2010年から2倍以上に拡大しました。

知的財産使用料の受取側、いわば知財の輸出国としては、米国、日本、ドイツ、オランダ、英国などが上位に位置しています。一方、支払側では、アイルランド、中国、米国、オランダ、スイスなどが上位となっています。ただし、知的財産使用料の支払いが多い国は、必ずしも技術力が弱いわけではありません。海外の優れた技術を導入し、生産性や競争力を高めるための投資である場合もあれば、多国籍企業がグループ内における知的財産の移転し、移転価格の設定や、知的財産を保有する国や地域の選択を行い場合もあります。

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AI時代の課題――「誰が発明し、何を開示したのか」

生成AIに関する特許出願は急速に増えています。WIPOによると、生成AI関連の公開特許ファミリーは、2023年の約1万4,000件から2025年には3万7,800件を超え、2024年と2025年の2年間だけでも5万6,000件を超える新規ファミリーが公表されました。

AIによって新しい材料、医薬品、半導体、機械設計などの候補を短時間で探索できるようになる一方、従来の特許制度が前提としてきた「発明者」の考え方は揺らいでいます。米国特許商標庁(USPTO)は、AIを利用して生まれた発明についても従来と同じ発明者認定基準を適用し、発明者として記載できるのは自然人だけであるとしています。しかし、対話型AIへの指示、AIが提示した候補、人間による選択や検証、改良が連続する開発過程では、誰のどの行為が発明への十分な貢献に当たるのかを判断することが難しくなります。さらに、ブラックボックス型のAIモデルや、非公開の学習データ、モデルの重みを利用した発明は、ほかの技術者が再現できる程度に内容を説明しなければならないという特許の開示要件と衝突する可能性があります。

AIが大量の設計案や技術文献を生成すれば、先行技術を調査する審査官の負担も増え、「その分野の技術者であれば容易に考えつくか」という進歩性の判断基準自体も変わりかねません。AI時代の特許制度には、権利保護を拡大するだけでなく、人間の責任を明確にし、発明を再現できるだけの情報開示を求めるとともに、過度に広い独占を防ぐ審査体制を整えることが求められています。

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上田 祐介
上田 祐介
チーフインベストメントストラテジスト
JTG証券経済調査室長 兼 チーフインベストメントストラテジスト。クオンツアナリストとして職歴を開始。その後は複数の大手外資系投資銀行などで主にクレジット市場関連の業務を歴任。海外クレジット市場の分析に強み。

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