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ポートフォリオ運用 | 基礎

【レポート】統計が示す日本の個人金融資産運用の動向と変化

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【レポート】統計が示す日本の個人金融資産運用の動向と変化

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本レポートでは、マクロ統計資料を用いて、最近大きなトレンド変化が起こった日本の個人金融資産動向について解説する。

インフレ局面で再定義される「安全資産」

  • 65歳以上の退職者世帯の金融資産は、2019年頃の約2,200万円から2024年には約2,560万円へ増加した。一方、預貯金が約3分の2を占めるなど、安全資産への偏りは依然大きい。インフレ下では、名目元本が維持されても物価上昇率を下回る利回りでは購買力が低下するため、「実質的な安全性」の視点が重要となる。

実質利回りからみた日米債券の相対価値

  • 名目利回りでは米国債が優位だが、物価上昇率を差し引くと日米の差は縮小している。
  • 2026年7月末では、日本国債は5年以上で実質利回りがプラスとなり、10年は米国とほぼ同水準、20年・30年では日本が上回る。ただし個人が購入しやすい円建て超長期債は少なく、米ドル建て中長期債の役割はなお大きい。

    「流動性・成長・利回り」の三機能による資産配分

  • 資産配分は、緊急支出に備える「流動性」、資産価値を高める「成長」、定期収入を得る「利回り」の三機能で考える必要がある。従来の「預金か株式か」という二分法に、債券などの利回り資産を加えることが重要である。年齢とともに株式比率を抑える一方、インフレへの備えとして高齢層も一定の成長資産を維持する必要がある。

残高統計が示す構造変化―現預金比率低下と外貨資産拡大

  • 家計金融資産に占める現預金比率は約55%から47%へ低下したが、現預金の絶対額は増えている。比率低下は主に株式・投資信託の時価上昇によるものである。
  • また、外貨建て資産比率は2022年以降、従来の約2.5%から5%近くへ上昇し、国際分散が進んでいる。

フロー統計が示す投資家行動の分化と債券回帰

  • 株式では保有額が増える一方で資金流出が続いており、長期保有層による利益確定が進んでいる可能性がある。これに対し、NISA等を通じた投資信託への資金流入は拡大している。さらに金利正常化を受け、債券・利回り商品への資金流入も急増している。

まとめ

  • 日本の個人資産運用は、現預金と株式を中心とする形から、債券を含む利回り資産を組み合わせる方向へ変化している。若年層は成長資産、高齢層は利回り資産を厚くしつつ、全世代で一定のインフレ対応資産を持つことが重要である。現預金・株式・債券の役割を分け、資産を増やすだけでなく、安定した利息収入を生活の質向上に活用する視点が求められる。
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上田 祐介
上田 祐介
チーフインベストメントストラテジスト
JTG証券経済調査室長 兼 チーフインベストメントストラテジスト。クオンツアナリストとして職歴を開始。その後は複数の大手外資系投資銀行などで主にクレジット市場関連の業務を歴任。海外クレジット市場の分析に強み。

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