「保険的利下げ」を実施した12月FOMCと2026年の米ドル建て債券見通し
本レポートでは、2025年12月のFOMCを参照しつつ、2026年及びそれ以降にかけての米国債券相場と為替相場についての弊社の見方を紹介する。
2025年12月のFOMC声明、議長記者会見で示されたメッセージ
- 12月FOMCでは政策金利の目標レンジを3.5〜3.75%に0.25%の引き下げ(3会合連続)。
- FOMCの文書でも、雇用の下振れリスクへの転換を強く意識。
- ただし、ドットチャートは、持続的な利下げに傾いておらず、むしろ2026年以降の利上げペースが減速(年1回程度まで)するとの見方を示している。
FRBの経済見通し
- FEDでは、2026年の米国の経済成長見通しを大幅引き上げ、2027・2028年予想も引き上げ。これまでの景気のソフトランディングシナリオより強気な見通し。
- FEDでは、失業率が年末にかけて4.5%まで悪化すると想定。(その後、報告された11月実績値は4.6%まで悪化)
- FEDでは、2025年にはインフレ率が目標を上回る3.0%台に留まると考える一方、中期的にはインフレは鈍化基調と想定。
弊社の金利・為替見通しと想定
- 2026年6月までは、金融政策が金融資産の市場価格上昇のさらなる材料とはなりにくい。
弊社予想
- 2026年6月までは利下げは行われず、2026年末までに1回程度の利下げ、2027年3月末までにさらに1回程度の利下げを想定。
- 米10年金利は、2026年3月末に4.19%までいったん上昇した後、徐々に低下。2027年6月以降に低下ペースが加速と想定。(25年金利は4.5%程度を維持)
- 米ドル/日本円レートは、2026年12月末も149円/ドル程度、2027年末も147円/ドル程度と、140円台のボックス圏で推移。
シミュレーションに基づく米ドル建て債の投資戦略
- 2028年3月までのドルベースでの累積投資パフォーマンス(再投資なし)は、10年債の16%に比べ、20年債では24%に達する可能性。為替換算後の円ベース累積リターンでみても、10年債で9.6%、20年債で17.1%と大きな差が生じ易い。
- 以上から、弊社では20~25年程度の年限の米ドル建て社債に相対的な優位性が生じており、同年限をコアとした米ドル建て債券投資を推奨(ストリップス債を除く)