米ドル建て債券市場動向 週次 2025年11月21日から11月28日まで
本レポートでは、2025年11月21日から11月28日までの米国債券市場動向の状況を示すことを目的とする。(起債額と取引額は2025年11月24日から11月28日まで)
- 漠然とした利下げへの期待感が増す一方で、市場における金融政策への見方も別れ、ベースとなる国債金利の動きはわずかにとどまった。一方で、利回り重視と金融緩和策への期待感から、ハイイールド債への資金注入が進むなど、市場の下方リスクへの警戒感も後退した形。
- ただし、プライベートクレジットのデフォルトが観測される中、商業用不動産ローンへのリスク懸念もあり、ノンバンクや一部の地方銀行へのリスク伝播の可能性も否定できない環境。半面で、大手銀行や投資適格上位のクレジットへの信用リスク懸念は低く、クレジット市場は質的な2極化が進んでいる。
- 引き続き、A格以上の投資適格債で20年~25年の債券に妙味がある投資環境。
米国国債市場
- 直近(11月28日)の10年国債利回りは4.01%と前週比で-0.050%の低下、4週比(10月31日)では-0.064%の低下。
- 2年利回りは-0.018%低下したが、20年国債は-0.051%低下と、イールドカーブの傾きはなだらかに(フラット化)。ただし動きは小さい。
米国社債市場
- 投資適格は全年限、全格付けで-2.6~-4.5bpsのタイト化。投機級も全般にタイト化したが短い年限ほどタイト化幅が大きく2年のB格は-30.6bpsの大幅タイト化。
- ドル建て社債を年限別に見ると、相対的にスプレッド(超過利回り)が広めに動いたのは、投資適格債では2年債、投機級債では10年債。
米ドル建て債券起債動向
- 優先債で起債額の特に大きかった案件は通信セクターのベライゾン・コミュニケーションズの110億ドルの起債。2番目は、原材料セクターのモーゼル・パッケージング・ソリューションズ・ホの39.3億ドル。3番目は、ヘルスケアセクターのアセンション・ヘルスの21.0億ドル。
- 劣後債で起債額の特に大きかった案件はファースト・アブダビ・バンクによる10億ドル。2番目は、スパイアによる9億ドル。3番目は、バーレ・オーバーシーズによる7.5億ドル。
米ドル建て社債取引動向
- 事業会社のうち投資適格債で取引額が最も多かったのはメタ・プラットフォームズで、オラクル、アマゾン・ドット・コムがそれに続いた。