米ドル建て債券市場動向 週次 2025年11月7日から11月14日まで
本レポートでは、2025年11月7日から11月14日までの米国債券市場動向の状況を示すことを目的とする。(起債額と取引額は2025年11月10日から11月14日まで)
- 10月FOMCで、12月の利下げ観測が後退した後は、利下げ方向の材料難。それまでの反動で金利が上昇する局面が継続。株式を含むリスク資産の相場が広範なアセットクラスで下落。金融資産によるレバレッジ投資の資金フローが逆転。
- 債券では、B格以下の低格付け社債、レバレッジド・ローン、プライベート・デット等への潜在的なリスク懸念が増大。一方で、投資適格社債では特段の懸念はみられず。金融セクターにおいても、G-SIBsなどへの信用懸念はみられない一方、一部の地銀やノンバンク、一部のヘッジファンドなどでは個別に評価格差が広がった。
- 株式市場における調整は基本的には短期のトレンド転換とみなし得るものの、より長期の視点を要するクレジット・サイクル等に転換してしまう可能性も考慮すべき環境に。
米国国債市場
- 直近(11月14日)の10年国債利回りは4.15%と前週比で+0.052%の上昇、4週比(10月17日)では+0.140%の上昇。
- 2年利回りは+0.044%上昇したが、20年国債は+0.052%上昇と、イールドカーブの傾きは変わらず(パラレルシフト)。
米国社債市場
- 投資適格債のスプレッドはほぼ横ばい。投機級債のスプレッドは若干リバウンドしたが、より格付けの低いB格はワイドな状態、一方のBB格は比較的タイトな水準を維持。
- ドル建て社債を年限別に見ると、相対的にスプレッド(超過利回り)が広めに動いたのは、投資適格債では5年債、投機級債では10年債。
米ドル建て債券起債動向
- 優先債で起債額の特に大きかった案件は工業セクターのアンフェノールの75億ドルの起債。2番目は、金融セクターのグローバル・ペイメンツの62億ドル。3番目は、金融セクターのチャールズ・シュワブとセレクト・アクセス・インベストメンツの20億ドルの起債。
- 劣後債で起債額の特に大きかった案件はスタンダードチャータードによる10億ドル。2番目は、Gulf International Bank Saudによる5億ドル。同順位で、国銀金融租賃とAlinma Sukuk Ltdの5億ドルの10年債。
米ドル建て社債取引動向
- 事業会社のうち投資適格債で取引額が最も多かったのはメタ・プラットフォームズで、アルファベット、オラクルがそれに続いた。