米ドル建て債券市場動向 週次 2025年9月5日から9月12日まで
本レポートでは、2025年9月5日から9月12日までの米国債券市場動向の状況を示すことを目的とする。(起債額と取引額は2025年9月8日から9月12日まで)
- 9/16-17のFOMCを控え、金融市場では資金需給の緩和期待を主な材料とした株価の上昇が他の資産クラスの市場価格上昇を牽引。 さらにトランプ政権によるFRB人事への関与など、テクニカルな要因も利下げ期待を後押し。
- 9/8–9/12の週は、米10年国債先物(TY)の限月が9月限(U5)→12月限(Z5)へロールの最終局面に入り、①ロール(U5/Z5スプレッド)中心の商い増加、 ②限月間での建玉移転(OIシフト)、③FOMC前の利下げ観測と利回り低下が重なって、出来高・残高ともに“需給がロール主導で膨らむ”週となった。 この結果、長期・超長期債の中で、10年米国債金利だけが、イールドカーブの中でヘッジ取引関連の需給で下がりにくい、いびつな状況に。 ただし、その後の継続的な債券価格上昇と金利低下を期待し続けるだけの材料は必ずしも充分ではない。FOMC後は、再度スティープ化傾向に戻りやすい。 超長期債券の購入タイミングは9月末頃をターゲットに一旦先送りか。
米国国債市場
- 直近(9月12日)の10年国債利回りは4.06%と前週比で-0.010%の低下、4週比(8月15日)では-0.252%の低下。
- FOMCを前に利下げ期待が広がるも、前週よりペースダウン。短期は反転上昇。長期では10年債のみ、利回りが低下せず。
米国社債市場
- ドル建て社債を年限別に見ると、相対的にスプレッド(超過利回り)が広めに動いたのは、投資適格債では2年債、投機級債では10年債。
- 投資適格債の信用スプレッドはわずかに低下。投機級債のスプレッドは短期が低下、長期が上昇とねじれたうごきを継続。
米ドル建て債券起債動向
- 優先債で起債額の特に大きかった案件は金融セクターのシティグループの65億ドルの起債。2番目は、ヘルスケアセクターのメルクの60億ドル。3番目は、エネルギーセクターのEQTの37.5億ドル。
米ドル建て社債取引動向
- 最も債券の取引額が多かった金融機関債はシティグループ、次いでJPモルガン・チェース・アンド・カンパニー、バンク・オブ・アメリカだった。
- 事業会社のうち投資適格債で取引額が最も多かったのはイーライリリーで、メキシコ石油公社(ペメックス)、オラクルがそれに続いた。
- 投機級債ではスノコ債の取引額が多かった。