米ドル建てブラジル国債投資の効用
本レポートでは、ブラジル連邦共和国(以下、ブラジル)の概要および経済状況を概観しつつ、米ドル建てブラジル国債の信用力評価について弊社の考え方を示す。
ブラジルの概要
- ブラジルは南米最大の経済大国。名目GDPは世界経済の約2%を占める。国土面積は世界第5位、人口は世界第7位。
- ブラジルは「世界のすべての国との良好な関係を再開しつつ、積極的で誇り高い外交政策」という「全方位外交」を推進している。
- 産業の高度化(サービス化)が進んだ準先進国で米州第2~3番目の経済大国。
- GDPにおける輸出の割合はさほど多くないが、内容は一次産品と工業製品が半々。
ブラジルの経済状況
- 2024年の実質GDP成長率は3.4%と、2023年の3.2%から加速した。第4四半期の成長率は前期比0.2%と鈍化。
- 2025年3月のインフレ率は5.06%、政策金利は13.25%へ4回連続の利上げ。
- 就業比率は高まっており、国内の雇用環境は悪くない状況。ただし実質所得は減少傾向。
- 政務債務の増大はリスク資産の市場価値には影響するが、ブラジル政府の返済能力への懸念が生ずるほどではない。
- 2024年Q2より純債務国になったが、潤沢な外貨準備により対外債務の返済が難しくなる状況は当面考えにくい。
ブラジルレアル(ローカル通貨)の状況
- 米国とブラジルとの金利差は拡大するもインフレ等への懸念により、為替はドル高レアル安の傾向。トランプ関税起因の世界的な景気鈍化傾向はレアル安傾向を支持しやすい
ブラジルのソブリン・クレジット評価
- ブラジルの発行体格付けはおおむねBB格。本質的な信用リスクは抑制されやすく、事業会社の投資適格(事業会社のBBB格)に準じた投資対象として検討し得る。
- 米ドル建てブラジル国債は、固有のリスク要因が信用スプレッドだけに集約され、投資評価を行いやすい商品。
- さらに税制面のメリットもあり、債券投資家にとって相対的に良好なリスク当たりリターンをもたらす可能性がある。 Appendix みなし外国税額控除