【ショート】米金利上昇とマクロ指標のひずみ
9月の利上げと追加利上げ見通しが、米金利を押し上げた
9月のFOMCでは政策金利が0.25ポイント引き上げられ、ドットチャートでは年内にもう一度利上げし、その後は据え置く見通しが示された。米国債の利回りは全体的に上昇しており、特に5~10年の金利上昇が大きいことが指摘されている。
FRBの説明は「物価上昇の広がりと持続性への対応」
ウォーシュ議長は、物価上昇の広がりと持続性を懸念し、今回の利上げを物価安定に向けた一歩と位置付けている。また、経済活動や企業の資金需要が強いため、利上げしても金融引き締め的な状態にはならないとの認識である。原油や食料品の価格そのものではなく、価格上昇が経済全体へ波及することを防ぐという説明である。
実際に物価上昇は広がっているのか、各種指標から検証する。
CPIの内訳では、エネルギー以外の物価上昇は鈍化している
7月から8月の消費者物価指数(CPI)を比較すると、エネルギーの価格上昇が目立つ一方、それ以外の多くの項目では上昇率が低下している。食品・エネルギーを除くCPIの前年比上昇率は2.5%から2.4%へ、同じく食品・エネルギーを除く財は0.8%から0.7%へ低下している。
重要なのは、「物価が上がっていること」と「物価の上昇ペースが加速していること」は別であるという点である。
消費者心理と住宅市場には弱さが見られる
消費者信頼感の指標では、消費者の将来に対する悲観的な見方が示されており、消費が大幅に拡大する様子は読み取りにくい。また、住宅ローン金利の上昇によって住宅販売が減速し、販売在庫が積み上がっている。
これらは、物価だけでなく、家計の心理や金利上昇による実体経済への影響にも目を向ける必要があることを示す材料として扱われている。
PPIの上昇も、エネルギーと輸送コストが中心である
生産者物価指数(PPI)についても、総合指数の上昇だけで判断せず、内訳を見ることが重要である。財の価格ではエネルギーが押し上げ要因となり、サービス価格では輸送・倉庫関連のコスト上昇が目立っている。
生産者段階の物価上昇についても、エネルギーや物流に関わるコストの影響が大きい。
強いPMIは、需要だけでなく供給能力の制約も示している
9月23日公表の速報PMIでは、総合指数が8月の56.0から9月の58.4へ上昇した。雇用や受注残の増加が示される一方、調達の遅延や人材確保の難しさも報告されている。
したがって、指標の強さを単純に景気の強さとして捉えるだけではなく、需要の拡大に供給能力が追い付いていない可能性にも注目している。
利上げでは、エネルギー供給の問題を直接解消できない
動画の結論の一つは、0.25ポイント利上げしても、ホルムズ海峡の通航が再開するわけではないという点である。エネルギーの供給制約が解消されれば、物価上昇圧力は急速に和らぐ可能性がある。
その場合、利上げによる金融引き締め効果が強くなり、結果として引き締めが行き過ぎになるリスクも指摘されている。
利上げには、実行力や独立性を示す意図があった可能性
利上げの背景については、7月の対応から転じてサプライズを与えることでFRBの実行力を示すことや、大統領からの独立性を示すことが、可能性として挙げられている。
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