【ショート】石油供給不足|FRBは利上げを継続できる?
原油を「生産できても運べない」状況に
世界経済にとって、エネルギー供給の絶対量に対する不安が現実になりつつある。
サウジアラビアでは攻撃を受けて東西パイプラインが停止した。また、イエメンではフーシ派がエルマンデブ海峡の要衝を掌握したと報じられている。
特に問題となっているのが原油の輸送ルートである。ホルムズ海峡のタンカー通行数は極めて低い水準が続いている。つまり、湾岸地域で原油を生産できたとしても、従来の輸出ルートでは十分に運び出せない状況にある。
一方、紅海の出口にあたるエルマンデブ海峡でも、タンカーの通行数は足元でさらに減少傾向を示している。ホルムズ海峡を避ける航海ルートの重要性が高まるなか、その出口にも脅威が迫っているのである。
生産減少に加え、在庫も取り崩し
世界の石油生産は、3月末時点の日量1億320万バレルから、6月末には9,729万バレルまで減少した。さらに6月のOECDによる中東4カ国からの輸入は、前年同月比36.5%減少している。
6月時点では、サウジアラビアやUAEなど代替輸送ルートを持つ国の輸出減少は2~3割程度にとどまった。しかし、こうした代替ルートからの輸出まで大幅に減少すれば、石油への依存度が高いアジアや日本への影響はさらに大きくなる。
在庫にも変化が表れている。OECDの商業在庫と戦略備蓄の合計は、3月末の40.5億バレルから6月末には38.2億バレルへ減少した。約2.3億バレルの減少のうち、およそ4分の3は戦略備蓄である。供給不安が長期化するほど、在庫によってどこまで対応できるのかが重要な論点となる。
原油高でもFRBは利上げを続けられるのか
中東情勢への不安を反映し、WTI原油価格は100ドルを超えた。ただし、より重要なのは価格そのものではなく、供給量の減少である。
8月の米消費者物価上昇率は全項目で3.4%となった一方、エネルギーと食料を除けば2.4%の上昇にとどまった。現在の物価上昇にはエネルギー価格の影響が大きいが、利上げによってコストプッシュ型のエネルギーインフレをコントロールすることはできない。
米国の短期金利市場は9月FOMCでの0.25%の利上げを織り込み、金利水準を全年限で切り上げている。しかし弊社では、FRBがすぐに利上げを継続することは難しく、現在の金利上昇は一時的なドル建て債券の投資機会になっていると考える。
金融商品への投資には価格変動のリスクを含む元本割れのリスクが存在します。投資判断は、利用者ご自身の判断と責任において行っていただくようお願いいたします。
本サイトに掲載された情報は、信頼できると判断した情報源に基づいておりますが、その正確性、完全性、最新性を保証するものではありません。
本サイトの情報に基づいて行われた投資行動により生じたいかなる損害についても、当社は一切の責任を負いかねます。
本サイトに掲載されている文章、画像、データ等の著作物は、当社または正当な権利者に帰属します。無断転載・複製を禁じます。
Jトラストグローバル証券株式会社 金融商品取引業者 関東財務局長(金商)第35号
加入協会:日本証券業協会、一般社団法人金融先物取引業協会、一般社団法人資産運用業協会、日本貸金業協会会員 第006278号