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債券投資 | 基礎#2

【ショート】複利を上回る期間リターンを生む債券投資戦略

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債券を選ぶ際、多くの投資家が最初に確認するのが「利回り」である。一般に表示される複利利回りは、債券を満期まで保有した場合の平均的なリターンを示す。しかし、実際のリターンが毎年その水準になるとは限らない。

債券では、保有する期間によって複利利回りを上回るリターンが得られることがある。そのカギとなるのが「ロールダウン効果」である。

債券のリターンは毎年一定ではない

例えば複利利回りが4%の債券であっても、毎年4%ずつリターンが発生するわけではない。最初の数年間は4%を上回り、その後は4%を下回るなど、期間によって実現するリターンは異なる。最終的に満期まで保有すれば、平均として複利利回りの水準に収れんしていくという関係である。

したがって、債券投資では「満期まで持った場合の利回り」だけでなく、「数年間保有して売却した場合にどの程度のリターンが期待できるか」という視点も重要になる。

ロールダウン効果とは何か

債券の保有リターンは、大きく「利金によるインカムゲイン」と「価格変動によるキャピタルゲイン」に分けられる。

このうち、時間の経過によって残存年数が短くなり、イールドカーブに沿って利回りが変化することで生じる価格変化が「ロールダウン効果」である。

例えば、長い年限ほど利回りが高い順イールドの状態で10年債を購入したとする。1年後、その債券は残存9年となる。イールドカーブの水準と形状が変わらないと仮定すれば、9年地点の利回りが10年地点より低い場合、債券価格は上昇する。この価格上昇分が利金収入に加わることで、一定期間のリターンが複利利回りを上回ることがある。

イールドカーブの「傾き」がポイント

ロールダウン効果の大きさを左右するのが、イールドカーブの形状と債券の残存年数である。

時間の経過に伴って通過するイールドカーブの傾きが急であるほど、残存年数の短期化による利回り低下が大きくなり、価格上昇効果も大きくなりやすい。また、一般に残存年数の長い債券ほど金利変化に対する価格変動も大きいため、ロールダウンによるリターン押し上げ効果も大きくなる可能性がある。

「何年持つか」まで考えて債券を選ぶ

債券投資では、単に利回りの高い銘柄を選べばよいわけではない。購入する債券が、保有期間中にイールドカーブのどの部分を通過するのかを見ることも重要である。

添付資料の例では、投資開始から5年目までの単年度リターンが、複利利回り4.62%を上回っている。これはロールダウン効果による超過リターンを反映したものである。

満期まで保有することを前提に利回りだけを見るのではなく、イールドカーブの形状と想定保有期間を組み合わせて考える。途中売却や銘柄入れ替えまで視野に入れれば、複利利回りを上回る期間リターンを狙うという、債券ならではの投資戦略が見えてくるのである。

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上田 祐介
上田 祐介
チーフインベストメントストラテジスト
JTG証券経済調査室長 兼 チーフインベストメントストラテジスト。クオンツアナリストとして職歴を開始。その後は複数の大手外資系投資銀行などで主にクレジット市場関連の業務を歴任。海外クレジット市場の分析に強み。

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