相互関税と世界経済への影響(トランプ#2)
本動画では、トランプ米大統領が導入を決めた「相互関税」の概要、一連の関税政策が目指す同大統領の経済政策の目的、今後の市場への影響について解説する。
相互関税の概要
- すべての輸入品に対し、一律10%の追加関税
- 特定貿易相手国からの輸入品について、10%以上の国別関税率(より高い追加税率)を適用。(ベトナム46%、台湾32%、韓国26%、マレーシア24%、日本24%、EU20%など)
- メキシコ・カナダの特例措置;
- USMCA適合品目;原則として追加関税の適用除外
- USMCA非適合品目; 最大25%の追加関税を適用(例外あり)
中国・香港・マカオへの対応措置:
中国本土と香港・マカオからの輸入品に対しては、すべて同一の関税率(54%);既存の20%の関税+新たな34%の関税)を適用。
- 追加関税の対象外となる例外品目
品目別課税済みの鉄・アルミ製品、自動車・自動車部品などは、相互関税の対象外。その他指定された品目(医薬品、半導体、銅、鉱物、他)も除外。
相互関税による米国内での政策目標とは?
- 短期の政策目標:外国から徴収した関税をアメリカ国民個人への給付・還付に
- 中期的目標:産業構造の転換と米国での生産への回帰
短期目標の達成には、原資としての関税の積み上げが不可欠であり、諸外国からアメリカに交渉を持ち掛けても、短期的にこれを受け入れる可能性は限定的。
世界経済への影響
アメリカが、強気の関税を仕掛けられる原因は、同国経済の輸出入への依存度が低いことがある。相対的に依存度が高い、欧州(EU)、カナダ、メキシコなどは、貿易戦争激化時には、経済へのダメージが相対的に大きくなりやすい。
投資の観点
- 米国では、インフレ懸念が高まる中での低金利誘導は生じにくく、ドル安も短期的には進展しにくい。
- 米ドル建て資産への投資は、引き続き有効
- ただし、成長鈍化の中で「直利」を重視した投資が有効(現金の下落はない)
有効な投資対象
株式では米ドル建ての高配当のバリュー株で安定業種の銘柄(景気連動を除く)。 債券では、金利上昇懸念は抑制的なことからデュレーションの長期化が有効。事業会社債は、安定業種重視。金融劣後債は有効な直利の積み上げ手段に。一方、事業ハイイールド債、低格付ソブリン債などは当面はさらなる時価下落を想定。下落後に再検討か。
調査レポート
トランプ大統領による相互関税を課す大統領令の概要