ペメックス(メキシコ石油公社)の支払い遅延問題の見方
メキシコ石油公社(ペメックス)では、以前からサプライヤーへの支払いが遅延していたが、この問題がより深刻化している。本動画では、同状況の整理と弊社におけるクレジット投資の考え方について説明する。
AMESPACの書簡送付
- 石油サービス企業を代表するメキシコ石油サービス企業協会(AMESPAC)は、「前例のない危機」が進行しているとして、国営企業ペメックスからの未払いにより「7月にも多くの業者が業務を停止せざるを得ない」と、2025年6月中旬にクラウディア・シェインバウム大統領に書簡で警告。
- AMESPACの書簡には、2024年分の未払金の即時処理、2025年分サービスの支払保証、すべての過去債務の支払計画、が要求事項として挙げられた。
なぜ「前例がない危機」的状況なのか
- ペメックスによる支払遅延はこれまでにもあったが、これまでの支払遅延事例の多くは非公開で個別に対処されてきた。しかし、現在の危機はAMESPACによって「前例のない」レベルと明言され、中小から多国籍企業までが一斉に支払不能に直面している状況であり、深刻さが際立っている。
- 世界有数の大手石油サービス企業の協力なしでは、油井の維持管理も不可能に。
メキシコ政府(シェインバウム政権)による対応
- シェインバウム政権は、本リスクを国家のリスク、ペメックス債務を国家の債務と認識している旨を表明。(i)サプライヤーへの支払加速、(ii) 連邦政府による直接支援、(iii) 支払手続の透明化、(iv) エネルギー政策・制度改革などの各種施策を進めている。
- メキシコ政府は同社に対して継続的な資金注入や税制上の支援を実施。政府による2019年以降の累積支援額は約1兆4,630億ペソ(約716億米ドル)にのぼる。
ペメックス社債の信用力(返済能力)の考え方
- 銀行によるファクタリング制度の強化など、サプライヤー向けの事業債務支払いの円滑化を進める施策も存在。メキシコ政府の対応の遅れは潜在リスクだが、同要因に起因したペメックスの法的破綻リスクは回避可能と、弊社は考える。
調査レポート
ペメックス(メキシコ石油公社)の支払い遅延問題の見方