楽天グループ 2025年第1四半期決算とクレジット評価上の着目点
本動画は、FY2025Q1までの財務状況に基づき、楽天Gの社債への投資評価の考え方を示すことを目的とする。
楽天Gの直近連結決算(FY2025 Q1)
- 楽天Gの直近四半期(FY2025Q1;1-3月期)におけるIFRS当期利益は-735億円の赤字(FY2020 Q3から19四半期連続の赤字決算)。
- 赤字要因は引き続きモバイル事業の巨額営業損失等に起因。他の2事業セグメント(インターネットサービス/フィンテック)は黒字を継続。
除く金融ベースでのB/S、CFの状況
- 楽天Gの非金融ベースでのネット有利子負債は大きく、現預金は少ない。有利子負債調達に対する依存度の高く、非金融事業の資金流出は継続中。
モバイル事業と非金融事業の経営方針に関する着目点
- 楽天Gが強調する「固定資産税を除くNon-GAAP EBITDA」は確かに四半期で黒字に転換した。 ただし、同指標は楽天Gの調整を多く含んでおり、実際には改善はしているが資金流出は止まっていない、と弊社はみる。
- FY2024は基地局数の純増はほとんどなく、コストも抑制。しかし、顧客数の増加に対応してFY2025には基地局を10,000局程度積み増し予定。結果、再度経費が増加に転じやすい。
- 楽天モバイルは、決算期毎に2,000~5,000億円近い赤字と親会社からの資本注入を受けている状況。
楽天G社債の市場状況と社債投資の考え方
- 楽天Gの非金融事業FCFの改善ペースは低下気味。基地局積み増しに向け、設備投資を増やすことで、さらにスローダウンする可能性も。
- みずほFGとの提携もあり、シニア負債資金の調達においては一定のサポートを期待。しかし、劣後資本の借り換えに対しては、みずほFGの支援は期待しにくい状況。
- 2025年3月以降、米ドル建ての事業ハイブリッド劣後債の新規起債は激減。楽天Gのドル建てハイブリッド劣後債の起債は、よほどの高クーポンを支払わない限り難しい市場環境。
- ドル建てシニア債は、積極的に投資を検討しやすい。ドル建てハイブリッド劣後債については、機中で大幅な時価下落リスクが生じやすく、満期までの期中の入れ替えにも制約がかかりやすい。
調査レポート
楽天グループの2025年第1四半期決算とクレジット評価上の着目点