アッヴィの概要と投資評価ポイント
アッヴィの事業概要
- アッヴィ(AbbVie Inc.)は免疫疾患、神経科学などの疾患領域に強みをもつ米国の医薬品メーカー
- FY2023年の総売上は543億米ドルで、製薬会社別売上高は4位
- 免疫系医薬品が総売上の約半分(48%)を占める一方で、がん腫瘍、美容系、神経科学系医薬品がそれぞれ各1割前後を占める構成
アッヴィ製品の特許期限と創薬パイプライン
- 最大のブロックバスターであったHumiraの特許はFY2023初頭に切れており、今後、2024年の終わりまでにRinvoqも特許切れを迎える予定。 2製品の売上占有率(FY2023)は34%。ただし、同社の創薬パイプラインのフェーズⅢにはRinvoqに関する特許が5件含まれており、Rinvoqの特許期間は実効的に延長される可能性も。
- アッヴィの総保有件数は他企業と比較して多くはないものの、各フェーズに対して20件以上と均等に配分。
- イミュノジェン社(がん腫瘍領域)、セレベル社(精神疾患や神経疾患)の買収により疾患領域を拡大。ただし、M&Aは財務を圧迫。
決算動向
- FQ2 2024 における全社ベースの売上高は前年度同期より+597(百万米ドル)伸長し14, 462(百万米ドル)に。
- 特許失効によるHumiraの減収を、Skyrizi、Rinvoqなどの製品の販売増で相殺。
- 結果、営業利益水準も安定維持。
アッヴィ社債の投資評価
- アッヴィ社債の市場スプレッドは、既に事業モデルの安定化を織り込み相当に水準が切り下がっている。しかし、その背景には明確なファンダメンタルの裏付けがある。よって同社社債に充分な投資価値があることは疑いがない。
- ただし、米国の大衆薬への依存度が高い同社社債は、他の製薬会社との相対評価で見た場合に、より米国の政治的リスクの影響を受けやすい点には注意が必要。この点から、20年超の社債よりも10年近辺の社債を推奨したい。