債券Q&A(IV-3)|なぜ株式と債券は連動して下落することが増えたの?

2022年以降の株式と債券の連動した下落の背景には、世界の主要中央銀行の政策スタンスが大きく関係してきました。特に、リーマンショックやパンデミック危機を受けた、大規模な金融緩和とその後の引締めの動きが、世界の金融市場を大きく動かすこととなりました。
以下のグラフで確認してみましょう。

出所:Bloombergデータより、JTG証券で作成
2020年頃に世界の主要中央銀行が、コロナ下で停滞した経済・社会活動を支えるために大規模な金融緩和を実施し、世界中で多額の資金が市中に供給されたため、世界で流通するお金(マネー)の総量(M2)が非常に大きく増加しました。この結果、余剰資金を活用するため株式・債券関係なく投資が加速し、市場価格が上昇しました。(債券価格の上昇は市場金利の低下を意味します。)
しかし、インフレなどの悪影響が生じたため、2022年以降はお金の流通量を減らす金融引締め政策を取りました。金融引き締めは、資金調達・信用供給・資産保有の条件を引き締め、経済規模に対するマネー量は、この期間に大きく縮小したといえます。この時期は債券価格が下落(金利は上昇)し、株式相場にも一定の調整が生じる局面がありました。
このように、2020年~2023年頃に生じた株式・債券価格の連動は、相場の変動要因とは大きく異なり、世界的な資金量の増減に影響されて起こったものであるために、正相関となり、伝統的な逆相関的連動にはならなかったと言えます。
では、なぜ2025年以降、日本では市場が伝統的な特性(逆相関)を限定的とはいえ取り戻している一方で、アメリカでは正相関が維持されやすいのでしょうか。
ここには多くの要因がありますが、著者が考えるアメリカで正相関が続きやすい2つの大きな原因を挙げておきます。
一つ目は、中央銀行の資産規模が大きくなりすぎたため、引き続き相場が金融政策に連動した動きを示しやすくなる、という可能性です。中央銀行のバランスシートが大きすぎることの弊害は、連邦準備制度(FRB)のウォーシュ議長も重ねて指摘しています。
もう一つの要因は、アメリカの株式相場を牽引しているのが、AI/サーバー関連の投資など限られた業種であり、これらの企業が債券などを用いた巨額の資金調達に頼って投資を拡大している、という点です。この結果、債券市場の動きと株式市場の動きは連動しやすくなる可能性があります。