債券Q&A(III-6)|異なる格付、どれが正しいの?

同一の企業グループであっても、格付会社によって大きく格付が異なるケースが存在します。
例として日本企業の格付を確認してみますと、トヨタ自動車は国内格付機関からは最高評価であるAAAを付与されているにも関わらず、S&PはA+と異なった格付が付与されております。
同様のケースはほかにも様々な企業で観測されており、中には6ノッチ以上の差異が存在することもあります。このためソフトバンクグループのように、格付機関によって投資の判断基準として大変重要な指標である投資適格・投機級の分類までも異なってしまうケースも存在します。
格付機関による債券格付の違い

出所:BloombergデータよりJTG証券で作成
注:格付は2026/7/24時点、S&P=スタンダード&プアーズ、R&I=格付投資情報センター、JCR=日本格付研究所
しかしながら、同一企業のデフォルト確率は同時に1つしか存在せず、実際はどちらかの格付に寄っている、もしくはその間であるかもしれません。そのため格付会社それぞれのスタンスの違いを理解した上で、その企業のリスクを見定めていく必要があります。
では、なぜ格付会社毎に信用リスクの評価が大きく異なるのでしょうか。
一般に、企業は資金の借入れを継続できる限り、資金不足による倒産には至りにくいです。日本では個人等の保有する金融資産のうち銀行預金が占める比率が多く、国内の金融機関の数や資金量も非常に多くなっています。このため、国内で投資適格の格付を得ていると、日本国内で円建ての資金を借り入れることは他地域よりも容易です。国内の格付機関はこうした日本の商習慣やメインバンクとの関係も信用格付けに含んで評価をします。
一方、アメリカでは個人等の資金は預金よりも信託などで保有されやすく、銀行の資金量は過度に余剰なわけではありません。また金融機関と借入先企業との関係はもう少しドライで、業績が悪くなり債務が著しく劣化し格付が大幅に引き下げられると、銀行などの金融機関は追い貸しに応じにくくなり、こうした企業は資金不足で倒産リスクが高まります。アメリカ等の格付機関は、こうした商習慣をもとにした評価の方法を土台として、他地域にも適用し信用格付けの評価を行っています。
よって、ある発行体に対する格付が大幅に異なるときには、その企業や団体が、実際に追加資金の借入れをでき、借り換えにより既存の債券を返済できるかどうか、という観点からどちらの格付がより適切かを判断することも、一つの切り口となります。
