相場とリスクの動向に合わせた通貨別アセットミックスの考え方
本動画では、「相場とリスクの動向に合わせた通貨別アセットミックスの考え方」について述べる。
地政学リスクが市場を左右する時代
現在の世界経済では、パンデミック、ロシア・ウクライナ問題、中東情勢、米中対立など、地政学リスクが同時多発的に発生している。こうした環境では、従来の景気循環や金利動向だけでは市場を説明しきれず、非連続的な変動を前提に投資を考える必要がある。
特に重要なのは、「どの資産を持つか」だけでなく、「どの通貨ではどの資産を持つか」である。日本の投資家にとっては、円ベースで最終的にどの程度のリターンを確保できるかが重要になる。
AI投資と米国株の強さ
まず、AI・半導体関連を中心とした大型投資の流れは、今後も継続する可能性が高い。米国では巨額のレバレッジ投資が続いており、米国株、とりわけ半導体関連株は依然として主要テーマである。このため、米国株を完全に外す戦略は取りにくい。
一方で、地政学リスクの高まりは、為替市場に大きな影響を与えている。最近は金利差だけでは説明できない相場展開が増えており、地政学リスクの増大局面ではドルに資金が集中する傾向が強い。世界の決済通貨としてのドルの地位は依然として圧倒的であり、有事の際にはドル需要が高まりやすい構造が続いている。
債券と資源国の重要性
このため、現在の投資戦略では「世界経済が安定成長を続ける」という前提だけでポートフォリオを組むことは危険である。むしろ、地政学リスクが継続したり、また別の地政学リスクが発生する場合でも耐えられる投資資産の構成を考える必要がある。
「守りの観点」では、米ドル建て債券や豪ドル建て債券は比較的有力な選択肢となる。特に米ドル債は、リスク回避局面で資金が集まりやすく、防御的な役割を果たしやすい。また、オーストラリアやブラジルなどの資源国は、資源価格上昇局面で相対的に強さを発揮しやすい。
米国株の代わりが「オルカン一択」ではない時代
逆に注意が必要なのが、オールカントリー型の投資である。世界経済が安定している局面ではエマージング株式は全体として上昇しやすく有効だが、現在のように国や地域による格差が大きい環境では、すべてを均等に持つ戦略が必ずしも合理的とは言えない。
これからのアセットミックス
今後数年間の投資では、AI・半導体関連を中心とした米国株を一定程度保有しつつ、米ドル建て債券や資源国関連資産を組み合わせる形が、有力なアセットミックスになると考えられる。重要なのは、通常の景気循環だけでなく、非連続的な地政学リスクも前提に資産配分を考えることである。