12月の日銀政策決定会合のポイントと、国内金利見通し
本レポートでは、2025年12月に開催された日銀政策決定会合を受け今後の金融政策の動向と相場予想、債券投資戦略に関する弊社の考え方を示す。
2025年12月の日銀政策決定会合リリース、総裁記者会見のポイント
- 12月19日の日銀政策決定会合では、全員一致で、日銀の現行金融政策を維持。無担保コールレート目標は0.75%程度に0.25%利上げ。
- 植田総裁会見などにおける現状認識:
- (i) 利上げを行った理由 : 賃金・物価の好循環の確度が上がったこと。
- (ii) 金融調節のスタンス: 「引き締め」に転じてはおらず、なお“緩和的”な状況。
- (iii) 金融政策の先行き : 政策金利は中立金利の下限に近付いた状況。
- (iv) 物価:来年度前半にいったん2%割れ、その後再び上向きに。
各種経済データが示す状況
- 2025年11月のCPI総合指数の前年比は+2.9%(2025年10月は+3.0%)と若干ペースダウン。
- 物価(全国CPI総合)の変動に寄与した主な項目は、(i)生鮮食品(+2.2%→+1.5%の縮小)、(ii)エネルギー(+2.1%→+2.5%の拡大)、 (iii)通信(+7.5%→+6.9の縮小)、など。
- 名目賃金上昇率は、10月分の速報値で、一般労働者の基本給が前年同月比+2.7%の上昇、名目賃金が同+2.7%の上昇。CPIが+3.0%(10月)の上昇であったことから、引き続き実質賃金は減少。2024年10月の完全失業率は2.6%→2.6%と横ばい。
弊社の国内債券利回り・為替見通し
- 日本の国債金利は、全年限で上昇を継続
- 潜在金利上昇4要因;(i)正常な経済成長に伴う需要けん引型の物価上昇、(ii) 円安を含むコスト押上型のインフレ影響、(iii) 財政政策の拡大による需給要因からの国債価格への下落圧力、(iv)日本経済そのものへの信認の低下
- 高市内閣の「責任ある積極財政」との整合性の観点からも、日銀が金融正常化を超えた利上げを継続することが当面は困難。
- 利上げが当面は持続しない場合、国債金利を引き上げる要因は、主に(iii)の需給要因からのり国債の価格の下落圧力となる。
- 金利上昇が落ち着くきっかけは、より短期の2年債・5年債で先に顕在化。その後徐々に長期へと広がりやすい。
- 10年国債金利については、2026年を通じて1.8~2.2%程度のレンジに留まりやすく、この水準を抜けて上昇するのは2027年頃になると想定