米ドル建て債券市場動向 週次 2025年10月24日から10月31日まで
本レポートでは、2025年10月24日から10月31日までの米国債券市場動向の状況を示すことを目的とする。(起債額と取引額は2025年10月27日から10月31日まで)
- FOMCでは、一方的な利下げトレンドを想定すべきではなく、12月に一回利下げがスキップされる可能性にもパウエル議長が言及するなど、資金需給への期待だけで相場を維持することが難しい状況に。
- 一方、AI関連の巨額起債が相次ぐなど資本市場内が資金が新たな市場を創出する動きと、従来型産業における投資や消費の2極分化による悪影響が懸念される環境に。地域金融機関、ノンバンク、不動産などの関連業界では、クレジットの質による選別の動きも広がりやすい。
- 先週に、韓国で開かれたアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議において、表面上は貿易における強靭性と利益共有の必要性を強調する共同宣言を採択したものの、多国間主義や世界貿易機関(WTO)については触れられないなど、世界貿易へのストレス継続をそのまま反映した結論に。
米国国債市場
- 直近(10月31日)の10年国債利回りは4.08%と前週比で+0.077%の上昇、4週比(10月3日)では-0.042%の低下。
- 12月の利下げ期待の後退を受け米国債金利が全般的に反転上昇する中、2年利回りは+0.094%上昇したが、20年国債は+0.065%上昇と、価格下落を伴いイールドカーブの傾きはなだらかに(ベア・フラット化)。
米国社債市場
- 投資適格では、2年の社債スプレッドは動かず、5~10年のスプレッドは約5bpsのワイド化。投機級ではBB格はタイト化、B格はワイド化。信用リスクによる選別は継続。
- ドル建て社債を年限別に見ると、相対的にスプレッド(超過利回り)が広めに動いたのは、投資適格債では10年債、投機級債では2年債。
米ドル建て債券起債動向
- 優先債で起債額の特に大きかった案件は政府セクターの国際復興開発銀行の50億ドルの起債。2番目は、金融セクターのロイヤル・バンク・オブ・カナダの50億ドル。3番目は、生活必需品セクターのフィリップ・モリス・インターナショナルの35億ドル。
- 劣後債で起債額の特に大きかった案件はソフトバンクグループによる20億ドル。
米ドル建て社債取引動向
- 事業会社のうち投資適格債で取引額が最も多かったのはメタ・プラットフォームズで、オラクル、アンフェノールがそれに続いた。