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アメリカ | 相場

週次:米国債券市場動向(2024/10 第5週)

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米ドル建て債券相場動向

  • 米国の債券市場では、大統領選の減税公約等がさらなる債務増とインフレを誘発するとの見方から、長期金利を含むイールドカーブも全般的に上昇。米国債の20年物金利は11月1日引けに4.69%をつけた。
  • 米国債金利が大きく変動する中、投資適格(IG)社債のスプレッドは小幅な変動に留まった。投機級(HY)では短期のB格を除き、全般にスプレッドがタイト化。キャピタル損をインカム益でカバーする投資ニーズか。
  • 大統領選の結果で細かい動きは変わり得るものの、現状の公約ではいずれの候補が当選しても、大規模減税により、米国の債務は増大し、インフレは再加速しやすい、というのが市場コンセンサス。 この結果、利下げへの動きは停止し、再利上げも織り込んだ動きに。
  • ただし、トランプ候補の経済・金融政策は定まっておらず、同候補が当選する可能性を考慮するほど、不安定性が高まりやすい状況。

新発社債の状況

  • 最も新規起債額が多かったエレバンス・ヘルスでは、2024年と2025年に満期の債務借換えを含み、さらに事業から得たキャッシュと新規起債による超過資金を合わせてM&A等の目的に充当の予定。最近、Carelon Services傘下の在宅医療価値ベースのケアプロバイダーであるCareBridgeの買収方針を表明しており、保留中の同案件が進めばメディケイドでの減収を補完可能に。
  • 2番目に起債額が多かったフィリップ・モリス・インターナショナル(PMI)による10月27日公表のFY2024 Q3決算では、禁煙者向け製品であるIQOSが特に日本で大幅増収、米国ではニコチンパウチ製品のZynの需要が急増していた。また、紙巻きたばこの販売実績はQ3に前年比+1.3%と、トルコ、インド、ブラジルのような禁煙製品が非認可の市場で数量が伸長。PMIはQ3に前年比で2桁%台の増収増益を継続、新規投資を含む資金需要も増加。

米ドル建て社債取引動向

  • 流通市場で債券の取引額が多かった金融機関債は、 JPモルガンチェース債、次いでバンクオブアメリカ債。金融セクターでは、新たな起債が一巡したこともあり、社債残高の多いJPモルガンやバンクオブアメリカなどが取引の中心に戻った形。
  • 投資適格の事業会社のうち、投資適格債券ではメキシコ石油公社(ぺメックス)が最も多く、ウエイストマネジメント、ボーイングがそれに続いた。投機級では、ガルダ・ワールド・セキュリティ債の取引が増加した。全米最大の廃棄物処理事業者のウエイストマネジメント社では、10月28日にQ3決算を公表、売上高は前年比+7.9%、営業利益は+9.6%の増収増益。米国のリサイクル率は約3割にとどまっており、政府目標の5割達成に向け、さらなる事業投資が必要に。

個別社債価格の動向

  • 投資適格の米国籍事業債で、最も上昇したのは衣料、繊維製品セクターのVF。VFは、2024年9月17日に、Moody’sから投資適格から投機級のBa1格に格下げ(S&PはBBB-格を維持)されていたが、減損費用一巡後のQ2(2024/9)決算で税引前利益が大幅黒字化、社債価格も大きく上昇した。
  • 投資適格債で最も下落したのが、金属・鉱業セクターのリライアンス。金属部品製造のリライアンスでは、Q3(2024/9)の営業利益が、前年比で約3割の減益となり、同社社債の時価も下落した。同社では、9月10日に15億ドルの5年間無担保リボルビング信用枠を締結するなど、事前に事業の悪化に備えた施策を取っていた。
  • 外国籍事業法人の投資適格債で、最も価格が上昇したのは石油:総合セクターのメキシコ石油公社(ペメックス)。一部議員が、DUCと呼ばれるペメックスの税負担のさらなる軽減策を2025年度予算に盛り込むことを検討と、一部メディアに言及。メキシコ官報ではペメックスの8月分のDUC支払いを11月27日に延期としている。これらを材料にペメックス社債の時価が上昇。
  • 外国籍の投資適格債で最も下落したのが、探査・生産セクターのカナディアン・ナチュラル・リソーシズ。WTIが70$/bblを割り込む中、生産コストの高いカナダのエネルギーとカナダからのパイプライン事業者の社債価格がさらに下落。トランプ候補の公約が、米国内のエネルギーのさらなる増産と単価下落を誘導する内容であることが、カナダ銘柄社債の下落を加速。
  • 金融機関の投資適格債で、最も上昇したのは三井住友フィナンシャルグループ。最も下落したのが、バークレイズ。モルガンスタンレーを除く米国銀行のシニア債では、主に大手銀行社債への需要が高まり価格が上昇した一方で、米国内の地銀社債への需要が後退し価格が下落した。

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