米ドル建て債券市場動向 週次 2025年6月13日から6月20日まで
本レポートでは、2025年6月13日から6月20日までの米国債券市場動向の状況を示すことを目的とする。(起債額と取引額は2025年6月16日から6月20日まで)
- 前週は、各国中央銀行の金融政策がほぼ現状維持だったこともあり、債券市場はわずかな動きに留まった。
- ただし、週末にアメリカ軍がイラン核施設への爆撃を実施、さらにイランがホルムズ海峡などの封鎖を議会決議(最高評議会判断は未決)したことなどを受け、 国際原油相場は一旦急騰。しかし、その後イランによる反撃が抑制的であったことを受け、相場は急落した。
- 地政学リスクの上昇(下落)は、米国ではインフレ継続(抑制)/長期金利高(低下)/イールドカーブのスティープ化(フラット化)/ドル高(ドル安)につながりやすいが、逆に日本にはイールドカーブのフラット化(スティープ化)/円安(円高)につながりやすい。
米ドル建て債券価格動向
- 米国債はほとんど動かず。わずかに買われた背景;(i) 5月コアCPIが市場予想を下回り、インフレ圧力の一服期待により長期金利が低下、 (ii) 中東の緊張激化に伴い、投資家がリスクオフへ移行。長期国債が「安全資産」として買われた。
- 投資適格(AA~BBB格)及び上位投機級(BB格) 債のスプレッドは、ほぼ動かず。BBB格の投資適格債が相対的に割安な状況は変わらず。
- 米国籍事業法人の投資適格債で、最も上昇したのは管理医療セクターのユナイテッドヘルス・グループ。 新発の2030年債・2035年債と、既発の2031年債との入れ替え目的での取引が増加、2031年債の単価が上昇。
米ドル建て債券起債動向
- 優先債で起債額の特に大きかった案件は金融セクターのロケット・カンパニーズの40億ドルの起債。2番目は、ヘルスケアセクターのユナイテッドヘルス・グループの30億ドル。 3番目は、エネルギーセクターのエンタープライズ・プロダクツ・オペレーティンクと、テクノロジーセクターのモトローラ・ソリューションズの20億ドル。
米ドル建て社債取引動向
- 最も債券の取引額が多かった金融機関債はバンク・オブ・アメリカ、次いでJPモルガン・チェース・アンド・カンパニー、モルガン・スタンレー・バンクだった。
- 事業会社のうち投資適格債で取引額が最も多かったのはユナイテッドヘルス・グループで、オラクル、AT&Tがそれに続いた。
- 投機級債ではエコスター債の取引額が多かった。