米裁判所はトランプ関税を止められるのか?
本レポートでは、トランプ政権が進める関税政策を、米国の裁判所が止められるのか、について検討する。
トランプ関税への違憲判決と、その後の流れ
- トランプ関税訴訟の流れ ;
- 4月2日、トランプ関税署名 → オレゴン州などが、相互関税は違憲として提訴。
- 5月28日に米国国際貿易裁判所がトランプ関税を違憲とする判決。
- 5月29日に連邦巡回控訴裁判所が同判決を一時的に差し止め(審議中)。
- どちらの判断に傾いても控訴され、最終的には最高裁判決が必要に。少なくとも2025年中に最高裁による最終判断が下る可能性は低い。
米最高裁における論点
①トランプ関税を差し止める法的根拠は、「重大問題原則」。 → 経済的・社会的影響が大きい政策は、議会の承認が必要。 → バイデン政権時に判決も出ている。 ②トランプ関税を支持する考え方は、「大統領例外論」。 → 外交・国際関係においては、大統領が国家を代表する権限を持ち、立法府よりも優越(1935年判決)。 ③米国の現状を平時とみなせば「重大問題原則」が優位、緊急時とみなせば「大統領例外論」が優位に。
最終判決に関する弊社の考え方
- 最高裁での論点は、法律論から、米国の三権分立内のバランスという政治体制の根幹にシフト。
- 個別の政策を統制する役割を果たし3権のバランスを崩す判断を司法が行うことには消極的になりやすい。
- 最終的にトランプ関税を違憲とした判決は棄却され、大統領例外論に基づき現在の関税が維持されやすい、とみる。