米ドル建て債券市場動向 週次 2025年3月7日から2025年3月14日まで
本レポートでは、2025年3月7日から3月14日までの米国債券市場動向の状況を示すことを目的とする。(起債額と取引額は2025年3月10日から3月14日まで)
- 3月19日に終了するFOMC待ちの相場。アメリカの物価に与える関税の影響は、いまだ不透明。FOMCでインフレ・デフレ共に判断できるだけの根拠がない。景気への影響も同様。下落する株価に示される将来の景気への不安感に、トランプ大統領がどう反応するのかにより、経済想定が大きく変わる。短期的(1~2か月間)には、債券の投資機会が維持されやすい。その後は、経済政策の方向性次第。インフレに危機感を覚えないトランプ政権と、物価と雇用の安定化を目標に経済悪化への懸念を抑えたいFRBでは、そもそも経済政策に対するコンセンサスがなく、逆を向きやすい。
米ドル建て債券起債動向
- 優先債で起債額の特に大きかった案件は、3月12日に発行した生活必需品セクターの「マース」の260億ドルの起債。債券の本数は8本、年限は2~40年。マースはスナック菓子メーカーのケラノバを買収する目的で、総額260億ドルの投資適格債を発行、同債券は2026年8月までに買収が完了しない場合、額面の101%で償還する条項を含む。本起債案件は、過去10年間の投資適格債市場においてもトップ10に入る規模。
米ドル建て社債取引動向
- 最も債券の取引額が多かった金融機関債はJPモルガンチェース、次いでバンクオブアメリカ、ゴールドマンサックスグループだった。
- 事業会社のうち投資適格債券で取引額が最も多かったのはマースで、オラクル、エジソンインターナショナルがそれに続いた。
- 投機級債券では「ベンチャー・グローバルLNG」の取引額が多かった。
米ドル建て債券価格動向
- ここでは、前週の利回り・スプレッドの時系列推移、セグメント別に比較した個別社債相場の動向を確認する。
- 直近(3月17日)の10年国債利回りは4.30%と前週比で+0.09%の上昇。4週前比では-0.18%の下落と高止まりのままボラティリティは低下。
- 全債券で見て最大の利回りが出る年限は24.4年(2049年8月満期)、利回りは4.73% (気配、中値)。
- 米ドル建て社債を年限別に見ると、相対的にスプレッド(超過利回り)が広めに動いたのは、投資適格債では5年債、投機級債では2年債。